「責任を感じてるの?」
コク、と彼はうなずいた。
「どうしようもないってわかってんだよ。俺にはあいつを救ってやれる力もないし、もう恋人でもない」
「う……ん」
「昔も今もダメなままだ」
「つらいの?」
「向こうがな」
力なく樹は笑った。
つらいんだね……。
美里さんがつらいのが、
樹はつらいんだよね。
4年間、自分のことを信じて、ずっとついてきてくれた女の子――。
いつも傍らで笑っていた女性――。
その美里さんが、ひどい目にあって、怖くて悲しくて震えている……。
樹の気持ちが少しだけわかる気がした。



