「あのね、部屋に行く」
「え」
「樹の部屋に、今日行く」
会ったら言おうと決めてきたことを、思いきって発表する。
「…………」
ポカンと一瞬、驚いた顔をして、
でも、じっとわたしを見つめる目――。
フッと、突然、表情が崩れた。
「この前俺、発情しちゃったから?」
なんて照れくさそうに笑う。
「もう大丈夫だよ」
ケロッと樹は言った。
「だ、大丈夫って?」
「あんときちょっと情緒不安定だったんだ」
そう……だけど。
「なんで? なんで不安定になるの?」
「ん~、なんでだろうなぁ…」
なんて樹は笑った。



