朝が待てなくて


軽く敬礼をし、警官はパトカーで引きあげて行った。




残された二人は……


ただ黙って向かい合っている。




まだ微かに震える美里さんを見つめたまま
金縛りにあったみたいに突っ立っている樹。




その彼が一歩踏み出し、

彼女の体をそっと抱きしめるまでが、

スローモーションのようだった――。





それは静かな抱擁で、




樹の心臓の音が




聞こえるような気がした。