朝が待てなくて


「は、早く行かなきゃ」


わたしがそう言うと、樹が真っ直ぐにわたしを見た。


「いいのか?」


「当たり前じゃん。何言ってんの?」


美里さんの命にかかわること。


「うん」


樹は短くうなずくと、交差点でトラックを大きく方向転換させた。





運転が荒い。


わたしにはあんな言い方をしていたけど、気持ちがはやってんのがわかる。




「やっと離婚届にはんこもらって、あとは荷物を運び出すだけだ、って聞いてたんだけどな」




わたしに聞かせるように、そうつぶやいた樹は、一度も道に迷うことなどなく、美里さんの家へと向かった。