「おっしゃ、泳ごう」
樹がいきなり立ち上がる。
「ダ、ダメだよ、樹、体調悪いのに」
んー、と腕を広げて、彼は伸びをしながら言った。
「熱中症なんて、ちょっと睡眠不足だっただけだ。今日はよく寝たから、もう平気だし」
なんて、今にも歩き出しそうな勢い。
「あ、じゃあ何か食べてから。おにぎりなら食べれる?」
朝のおにぎりを手に取って差し出すと、樹がひるんだ。
「や……、食うと吐く」
「えー、全然大丈夫じゃないじゃん……!」
樹は叱られた子どもみたいな顔をして、
「ちゃんと水分とってるし、あ、アメも食っとくから」
って、コンビニの袋を拾い上げた。
ゴソゴソやってるのを、わたしも立ち上がってのぞき込むと、ポリ袋の中には栄養ドリンクが数本と、塩アメの袋。
さっき飲んでた2リットルのスポーツドリンクも、樹持参のやつだ。



