「そしたらそいつ『並んでもひとり1個しか買えません』って泣き入れてくるから、そこを何とかしろって脅してやった」
「えー…」
思い出したように、樹がクスクスと笑う。
「そいつ結局、自分の母親連れて一緒に並んで、それ、ゲットしてくれたんだ」
大淀のTシャツの下に入ってしまっていた細いチェーンを引っ張り上げて指先でさわる。
「すごく欲しかったやつだよ」
つい話をモッてそう言ったら、樹は本当にメチャクチャうれしそうな顔をして笑った。
「そっか、よかった……」って。
「大切にするね」
そう言いながら、胸がジーンとして泣きそうになったよ。



