そもそも樹は
今日海から帰ったら、そのまま名古屋に向かうつもりだったんだ。
それ自体がすでにハードなのに。
体調くずしたから、海はやめにして、仕事に障りが出ないようにするつもりが、
わたしがゴネたから、樹は仕事のほうを祐二さんに代わってもらうことにして、こうして海に連れて来てくれたんだ。
誰だっけ、樹にムリしないでって言ったのは?
誰だよ、
わたしのせいにしないで、って泣いたのは?
「ん」
大淀がどこから調達してきたのか、うちわを手渡してくれた。
「あ、ありがと」
タオルをずらして、そっと風を送ると、
寝苦しそうな樹の表情が、少しだけ和らいだように見えた。



