「お母さん、反対すると思ったから……」
小さな声でそう伝える。
「真琴のことが心配なんだよ」
「うん……。トラック乗ってる人はイヤみたい。普通の会社員のほうが手堅いって」
「手堅い?」
わたしの言葉を訊き返すと、お父さんは少しだけ笑って胸を張った。
「お父さんはその1点だけで選ばれたんだ」
えっと……、たぶん冗談(汗)
流し台の前で、二人して突っ立ったまま向き合っていたんだけど、お父さんがキッチンの椅子を引き、そこに腰を下ろした。
何だか、うながされてるような気がして、わたしも向かい側の席につく。
何か、言われるのかな?
…………。
と思ったら、まさかの沈黙。
お父さん、言葉を探してるみたい。



