それで樹は、あんなにあわてて行っちゃったんだね。きっと時間ギリギリまで待っていてくれたんだ……。
「なのに真琴は爆睡してるみたいだし、お父さん、困っちゃったさ」
苦笑するお父さん。
「『帰れ』って言うのは取りあえずヤメにして、お前を呼びに行こうか、どうしようか迷ってるうちに眠れなくなってな……。
ホントはお母さんを起こそうかと思ったんだが、それもめんどくさいことになりそうだし」
お父さんはそう言うと、視線をあげてわたしの目を見た。
「……お母さんにも、内緒なのか?」
「あ……うん」
コクンとうなずく。
それはつまり、樹とつきあってるって認めてしまう発言になるわけで、
今からでもごまかせなくはないけれど、そんな気持ちはもう失せていて、
ただ、胸がドキドキしていた。



