「でもな、樹クン、今度は門の前の石段のところにちょこんと座って、ずうっと待ってるんだよ、真琴のこと」
そこでお父さんは短く息をついた。
「そんで、ときどきポケットから小さな包みを取り出して眺めてた。
寝室の窓からだと斜め後ろになるから、門燈で照らされた樹クンの表情が少しだけ見えるんだ」
「へぇ……」
「彼はその包みを何度もしまっては取り出して、優しく穏やかな顔をして、じっと見つめてたよ。
それを見て、そっか、今日は真琴の誕生日なんだって思い出した。
大切に……想っていてくれるんだなぁって伝わってきたよ。きっと直接手渡して、お前の喜ぶ顔が見たいんだろうな、って」



