「ゴメンな、ゆっくり話したかったんだけど仕事なんだ。時間なくて、もう行かなきゃ遅刻する」
え、もう行っちゃうの?
あ、でも……きっと樹、無理して来てくれたにちがいない。
「わかった。遅刻して怒られてもいいから、あわてずに安全運転で走るんだよ」
わたしがそう言うと、彼は「プ」と吹きだし「了解」と言った。
ああーっ、海!
運転席のドアを開け、乗り込もうとしている樹の横から声をかける。
「あのねっ、今度の日曜日、海に行くの。樹も来れる?」
「え」
「サホリンとミャンマーと、あとクラスの男子3人とで行くことになっていて…」
そこまで聞いて樹がポカンとした顔で言った。
「それ俺ジャマだろ?」



