「来てくれたんだ、樹」 門を開けて外に出て、樹の前に駆け寄る。 「よ」 「うん」 「誕生日おめでとう」 樹はそう言うと、ジィ…と、視線をわたしの顔の上に落とした。 茶色がかったきれいな瞳。 それに負けないように、真っ直ぐに彼を見上げた。 その目がフッと笑って、一瞬ちょんと指先でほっぺをつつかれた。 「毎日……ベゾかいてんの?」 「か、かいてないよ」 その声と笑顔が優しくて懐かしくて、じわぁと涙が浮かんでくる。 「ほら」 樹はその涙を見て、今度はちょっと困ったように笑った。