樹に訊いてもスルーされていたから、いろんなことがわかってよかった。
「とにかくこの件については、わたしも噛んでるからさ、樹と美里が二人でどうこうって感じじゃあないからね」
なんて訊いていないことまで教えてくれた。
優しい、香美さん…!
だけど
電話を切ったあとには、重たい現実がズーンと胸に横たわっていた。
美里さん、離婚するんだ……。
彼女の結婚式の当日、空を見上げていた樹の横顔を思い出していた。
あの日……複雑な気持ちを紛らわせたくて、樹はわたしを誘ってくれたんだよね?
美里さん、フリーになるんだよ。
樹は今、どんな気持ちでいるの?



