「何が?」 「それで樹はそんなに一生懸命仕事引き受けちゃうんだ?」 「は?」 「美里さんを暴力夫から取り戻したいけれど、彼女は借金のこと嫌がってるんだもんね? 一刻も早く借金返して、美里さんと元に戻ろうとしてる?」 「…………」 「だから樹は、わたしのことなんかほっぽっといて、無理してでも仕事に行っちゃうんだよね?」 一瞬返事がなかった。 それって肯定の意味? だけど、トラックはすぐに赤信号で止まり、樹は硬い声を出した。 「……真琴、お前それマジで言った?」