「おっ、誕生日何が欲しい?」


トラックに並んで乗り込んでから、樹が訊いてきた。


「何もいらない」


「……スネんなよ」


「べつにいらないもん」


「俺に……金がないから?」


「ちがうよ。そんなんじゃない」




そこで会話が途切れた。


さっきまでずっと下手に出て話かけてくれてた樹が、もう何も言わなくなった。




気まずい空気が流れる。




「じゃあ、合鍵が欲しい……」


小さな声でそう言ったら、フッと鼻で笑われた。


「手をつなぐのも拒否るくせに、部屋に行って何すんの?」




意地悪……言われた。


ううん、いつまでも不機嫌な態度をとっている自分のせい。