「まぁとにかくだ。仕事受けちゃったんだし、真琴は貧血だしな。車とってくるわ」 スッと立ち上がって樹が言った。 わたしも無言で立ち上がる。 「お前はしばらくここで休んでろ。すぐに戻るから」 樹がちょっとマジな顔つきになる。 「いい。行く」 短くそう答えると、わたしはスカートのホックを留めて、髪を片手でササッと整えた。 「体大丈夫なのか?」 コクンとうなずく。 「おんぶしてやろうか?」 「いい」 「お姫様抱っこか?」 「いらない」 子供じゃない。 で、貧血でもない。