わたしが小さくうなずいたのを見て、彼はお皿に少し残ったセットのサラダを、また無言で食べだした。
サーモンピンクのドレッシングがかかったレタスを、フォークで器用に口へと運んでいく。
その間も
そのあと運ばれた食後のコーヒーを飲む間も
樹はほとんどしゃべらなかった。
真っ白な腕に残されたあの痛々しい傷あとが、彼をそうさせているんだと思う。
無理に見せたあの笑顔が、頭を離れないんだと思う。
ゴメンね、樹。
美里さんは、樹と別れたことを後悔してるって、わたしからは教えないよ?
だけどそんなこと、あの人の相談にのっているうちに、きっと気づいちゃうね。
彼女の気持ちにも
無自覚な自分の本当の気持ちにも……。



