「な、泣くなよ」 “樹が取られちゃう”と思ったとたん、涙がブワッと湧いてきた。 だって、絶対かなわない。 頬を伝って、あごを伝って、涙はボタボタとお皿に落ちる。 「怒ったんじゃないってば」 テーブルの向こうで、樹が少しあわてたような声を出した。 「俺も同じなんだぜ」 「え?」 「俺も真琴と同じだ。両親は元気だし、そろってまだ現役だ。だからな、俺は自分のことだけ心配してりゃあいいんだよ」 「……」