朝が待てなくて


樹は立ち上がると彼女の手首をつかみ、無遠慮にブラウスの袖をもっと上までスルッとたくしあげた。


あ……!


美里さんの二の腕には、今度はもっと青くて生々しい大きなあざが二つもあり、その周りが赤く腫れあがっていた。


今さわったらすごく痛そうなやつだ。




つかまれた樹の手から自分の腕を引き抜こうと、美里さんは力を入れているみたいだけど、強くつかまれていて引き抜けない。


樹は問いただすような目で、じっと彼女を見ていた。




わたしだけがそこにいない。


席に座ったまま、二人のやりとりをただポケッと見上げていた。





「お前のダンナ、手を上げるって、香美から聞いた」