不安でいっぱいになったわたしの顔を見て、彼女はハッとしたみたい。
「えへへ。主人も優しい人だよ。樹とはタイプが違うけど、とっても優しいの、うん」
少し恥ずかしそうに目線を落とし、美里さんはそう言った。
「あ! くやしいから、さっき言ったこと樹には内緒にしといてね」
それから急に顔を上げて、いたずらっぽく笑う。
あ……。
その明るくて優しくて温かい笑顔が、誰に似てるのかわかっちゃった。
樹の笑い方にそっくりだった。
ちょうどそのとき、電話を終えた樹が戻ってきて、ちらっと美里さんを見てから自分の席に着いた。



