「あんな感じ?」
「うん。男らしくて誠実で……いつも守られてたから、マヒしちゃってた。樹が特別だなんてわかんなかったの。誰でもそういう風に大切にしてくれるのかと思ってた」
「…………」
「あんなバカみたいに優しい人を基準にしちゃダメだよね? 基準値以上なんて探せないもん。やっと最近それがわかった」
さらっとそう言った彼女の横顔を見たとき
ドキ――と、心臓が音をたてた。
すごく淋しそうな目をしていた。
「樹って……太陽みたいだね」
クスッと小さく笑って、彼女はわたしを見る。
「だから真琴ちゃんは樹から離れちゃだめだよ?」
そんなことを言う彼女の目は、もう明るい色に戻っていて……。



