「だってそれ、ラウンドワンのおまけじゃん。そりゃ惜しげなくはずせるって」 樹が取りはずしてテーブルにほっぽってあるピンの形をしたストラップを指差して笑う。 「は? これはだな、俺が生まれて初めてパーフェクトゲームをしたときの記念の…」 「もー、嘘ばっか!」 弾けるように笑ったわたしの顔からは、さっき感じた自己嫌悪も不安も、きっともう消えちゃっている。 樹が全部呑み込んでくれるから 樹が全部包み込んでくれるから だからわたしは その笑顔だけを信じていれば きっとそれでよかったんだ――…