「どれがいい?」
候補にしぼったのを3つ、手にとって見せると、樹は「お、いーじゃん」と言った。
彼が選んだのはイニシャルの装飾がついている皮のストラップ。
シンプルだけど使いやすそうだよね。
早速「T」の他に「M」も手に取り振り返ると、樹はアクセサリーのショーケースを真剣な顔をして見下ろしていた。
「こんなの、どう?」
近づくとその中のひとつを指差す。
シルバーの枠にターコイズがモザイクに埋め込まれた小さなクロスのペンダント。
きれいな色……
天然のブルーの深い表情に心惹かれる。
わ、高っ!
こっちに向けられた値札には、自分で買うのとはひとケタ違う数字が並んでいた。



