朝が待てなくて


「ま、勉強あんま根詰めるなよ」


電話の最後に樹はそう言った。


その低く優しい声を聞くと、何にも訊けなくなってしまう。


彼女のことも、夏の出来事についても…。




でも――


樹の中に、わたしはそれなりに存在していて


ときどき思い出しては驚かせに来てくれて…


それだけで十分かなって思ったりもするんだ。





なんせまだ、変身前だからね。