指を滑らせて…唇をそっとなぞる。 温かい樹の唇―― 「お帰りなさい…」 ひざをついて伸び上がり チュッと、その唇にキスをした。 えへへ、自分からこんなことをするのは初めて…! 熟睡してるから大丈夫だよね? 柔らかな朝の光が、閉ざしたカーテンの隙間から漏れている。 目をつむって 優しい樹のキスを思い出して…… それから そっと顔を離したとき、樹の目がパチッと開いた。 ひ、ひぇっ!!!? 驚いて思いっ切りのけぞり、前の座席の背もたれにぶつかって尻もちをつく。