助手席に滑り込んでドアを閉める。
バン、って思ったより大きな音が響いてドキッとしたけど、ドキドキとあせったまま後部座席とを仕切っているカーテンをめくった。
わ………樹だ。
広々としたシートに横になり、ちゃんと枕を敷いて薄手の肌掛け布団をかぶって樹が眠っていた。
横向きに寝ている彼の顔はこっちを向いていて、寝息も立てず微動だにしないその様子は、きっと熟睡モードなんだろうな…。
うれしくなって思わず前後のシートの間に入り込み、ペタンと座った。
目の前には樹の顔。
ずっとずっとずっと、会いたかった顔だ。
無心に眠っているところをじぃ…っと見つめる。
鼻が高くてまつ毛が長―い。
樹ってこんな顔だったっけ?
えへへ、笑ってないとわかんないよ。



