朝が待てなくて


「樹クンって一人暮らしなんでしょ?」


とサホリンが言った。


「ああ、うん」


「じゃあ部屋にお泊まりしたいって言えばコトは済むじゃん」


フゥ…とわたしは小さな溜め息をつく。




「部屋に行きたいって何度言ってもスル―される」


「何で?」




樹の仕事は出るのも上がるのも電車のあるような時間とは限らないから、実家だと遠くて無理なんだって。


で、家賃の安さを最重要視して選んだのが今の部屋で、何でもラブホテルとパチンコ店の間に挟まれたぼろっちいアパートの一室だって言ってた。


会社から歩きで行ける範囲だから、つまりはわたしの高校から結構近いはずなんだ。