朝が待てなくて


「兄貴達とはもともと出来が違うし…。兄弟で俺だけなんだよ、中学入試であの学校落ちたの」


大淀は淡々とそんなことを言った。


そっか中高一貫校だっけ?


「中学でも受けたんだ? …大淀でも落っこちたりするんだね」


あわててそう付け足したら、彼は口の端っこだけでニッと笑った。




「両親も兄貴達も『高校入試でリベンジすればいい』って励ましてくれて…。何だか逆らいようのない流れみたいのがあって高校でも受験したんだけどな」


「しっかり合格圏内だったのに、途中で試験放棄して帰っちゃったって聞いたよ?」


「ああ…入試問題解きながら、この学校入ったら兄貴達と比べられるんだろうなーなんてふと考えたら嫌んなっちゃってさ」


「えー、おうちの人に怒られなかった?」


「あれは家では腹を下したことになってる」


なんて大淀はさらりと言った。