「一緒に帰ろーぜ」
塩崎がミャンマーの横に追いついて来て言った。
「え、別にいいけど。何?」
「何って?」
「何でこんな時間にいんのさ?」
意中の人を前に、ミャンマーはことさらつっけんどんな口調になる。
「別に。図書室で勉強してたら遅くなっただけだし」
「あんたがそーゆー嘘をつくときは怪しいんだからね」
「は? 失礼なことを言うな」
途端に痴話げんかが始まり、それでも当のミャンマーの声が微妙に華やいでいることは、サホリンとわたしにだけは手に取るようにわかったりする。
あは、カワイイやつめ。
(案外いい感じだったりして、あの二人)
(ね。結局仲いいもん)
サホリンとひそひそと話す。



