朝が待てなくて


林道を抜けると遠くの山並みが見えて、夕日が沈むとこなんか最高にきれいなんだって。


今日は時間的に夕日は無理だけど、その先に小さな湖があるみたいだから行ってみようかって、樹が誘ってくれた。




そんな言葉を聞きながら、わたしはちょっと別のことを考えていて……


「だって、美里さん…」


「え?」


思わずその名をつぶやいてしまった。




たぶん樹の胸の中を、わたしよりも占める人――