「だから、もうお前のこと誘うのはやめとこうって思ったわけよ」
「あ…」
「俺が誘うの、真琴待ってくれてるかな、とは思ったんだけどな、やっぱ気が引けた」
「…待ってたもん」
小さな声でつぶやく。
「学校で好きなヤツができて、そいつと一歩ずつ大人になって……そういう恋を真琴はするんだろうと思ったし、それがいいって思ったんだ」
運転中の樹はわたしの方は見ずに、真っ直ぐ前を向いたままそんな話をした。
「樹はわたしに興味ないから、そーゆーこと平気で出来ちゃうんだよ。放置とかあり得ないし」
口をとがらせてそう言うと
「バーカ」って声が返ってきた。



