樹はものすごーく不機嫌そうに突っ立っていて、怒ったような声でこう言った。 「彼女」 へっ? 「え」 「俺の彼女」 「え……っ」 お母さんはその後1分くらい言葉が出なくて、その眼は樹の顔とわたしの顔を行ったり来たりしていた。 「う、上野真琴です。勝手になついてしまって、お世話になってます」 思わずペコンと頭を下げる。 「ホントに? こんな可愛らしい人と! 何歳なの?」 15です、と答えようとしたら、横から樹が 「16」とサバを読んだ。 ほらね、やっぱ16の方が大人じゃん。