朝が待てなくて



陸クンと樹がもうひと泳ぎしてからプールを後にする。


ココア色の軽自動車に乗って樹の実家に向かった。


雫ちゃんはベビーシートの中でまだ夢の中。


陸クンももうウトウトきちゃってる。






「こいつら下ろしたら、姉貴に車借りることになってるから」


と樹が言った。


「え?」


「初デートだもんな。どっか行こう」


ハンドルを握って前を向いたまま言う。


ひぇ…樹そんなこと意識してくれるんだ。




「わかりにくいよ…ね、樹って」


恐る恐るそんなことを言ってみた。


「へ、俺?」


「うん」


「え? 俺は日本一わかりやすい男でしょーが」


と彼が笑った。