「溺れて…たらどうしようとか…誰か…悪い人に…連れてかれ…たかと…」
いったん堰が切れると止まらなくなっちゃって、わたしはほとんど泣きじゃくるようにそんな説明をした。
「そんで探してくれてたのか?」
コクコクとうなずく。
「バカだな。置いてくなら声かけるって」
「そう…だよね……へへ」
わたしが泣いていることにビックリしたのか、雫ちゃんまでわんわんと泣き出してしまった。
「ごめんね…真琴お姉ちゃん…ごめんね」
わたしにギュッとしがみついてしゃくり上げる。雫ちゃんは全然悪くないのに…!
「ちょっとこれ、どーすんだよ」
樹に向けた陸クンの言葉が頭の上から降ってきた。
「これ」はおでんのことではなく、抱き合って泣き崩れるわたしたちのことらしい。



