朝が待てなくて


夜10時――


わたしはリビングのソファに座り、芸人達の歌うま王座を決めるテレビを眺めていた。


テレビから流れてくる歌に合わせて、妹と一緒に口ずさんだりして…。




――そんなことをしている場合じゃない。


夕飯が済んだくらいから、樹に電話しようと思ってずっと携帯を握りしめている。


3回もシカトしたんだからこっちからかけるべきだ。


無効にされる前に継続の意思を示さなけりゃならない。


『昨日はゴメンね! 彼女になれてうれしいよ!』


って明るく先手を打っちゃおうと思う。




昨日の帰り際のことも電話の件も、樹はきっと気を悪くしているはずだ。


だけど怒っているというよりは、もう面倒くさくなっちゃったんじゃないかな、と思うんだ。