「何の話?」
「映画の途中で、真琴、俺のことジーッと見てきただろ?」
「ああ…」
「切羽詰まった顔するから、トイレがヤバいのかと思うじゃん」
思い出したように樹がプスッて笑った。
フン、見とれてたんだよ、バーカ。
手を握ってくれると思って待ってたんだからね。
笑っちゃう…よね。
「あれ何だよ? 何か言いたかった?」
コーヒーカップを片手にもう一度彼は訊いた。
「あれは……
樹とあんなふうに…
結ばれたいなって思って見てただけ」
そんな言葉が思わず口をついて出た。
だって樹だけ余裕しゃくしゃくで頭にくるもん。



