「真琴?」
こちらが言葉を発する前に電話の向こうから呼ばれた。
メールじゃなくて電話はホントに久し振り!
樹の低い声に心が震える。
「…うん」
「今日空いてる?」
「え」
「映画でも行こうかと思って」
「う、うん。行く。空いてる!」
「電車だけどいいか? 俺車持ってないから」
「いいよ。うん。全然」
近場では一番大きめの駅名を樹が告げて、1時間後にそこで落ち合うことになった、。
「じゃ、観たい映画考えといて」
そう言って彼は電話を切った。
あれ? 映画を観ようって限定するから、自分が観たいのあるのかと思った。



