「それって…お守りくれた人?」
大淀が訊いた。
「えっ、な、何で知ってるの?」
「受験のとき同じ教室だったんだ。
お前、休憩時間の度にちっこいお守り握りしめて何やらブツブツ唱えてたから、危ないヤツかと思ったよ」
「ご、合格出来るように祈ってたの!」
「だから…」
大淀はまた、ちょびっとだけ笑った。
「そんなに合格したいんなら、他のやつらみたいに直前まで参考書やら単語帳やら見てればいいのにって思って、俺、お前のことずっと見てた」
なんて彼は言った。
「自分こそ…そんなよそ見しないで勉強してれば良かったじゃん」
呆れてわたしがそう言うと、彼はハーンと冷笑するような眼をした。



