「…なぁ、やっぱこの山ヤバいんじゃ…。」 「何?怖いの?」 「あっ!?なわけねぇだろ!!」 悠はそう言って笑いだすものの、目は全然笑ってない。 悠も大概ビビリなんだよなぁ、とあたしは思う。 「じゃあ早く行くよ!」 「あっ!ちょ、ちょっと待て!置いてくなよ!」 あたしは構うことなく、草むらの中に飛び込んでいった。 悠には悪いけど急がないと。 朝のお母さんの話があたしを急かす。 もう、時間がない。 何とか幸生とばあちゃんの思いを叶えてあげたい。 たった一つの約束を、今度こそ。