その瞬間、あたしは全力で走りだした。




「やっぱり!!“PEACH”だ~!!!!」


「え、嘘?!今の“PEACH”!!?」




そう言って二人の女の子はあたしを追いかけて来た。


それに釣られて、周りの人達も興味本意で追いかけて来る。




「嘘でしょ――?!」




凄いスピードで追いかけて来る人達を振り返りながらも走り続けていると、横の小道の陰から手が伸びて来て…あたしを捕らえた。


そのまま陰へと体を引き摺られ。




「キャ…!」




叫ぼうとしたら、誰かの手で口を塞がれた。


その手からは優しいシトラスの香りがして。




「黙って」




上から、そんな声が聞こえた。


その声は確かに男の声で。


身長167cmのあたしより上の方から声がしたってことは、結構この男は身長が高いことを示している。