「ちょ、ちょっと!!谷口玲!」 「ん?なんだ?」 「何勝手に“奈緒”って呼んでんの?!」 「あぁ、そんなこと?別にいいじゃん。つーか、奈緒こそ俺のことフルネームで呼ぶのやめろ。“玲”でいい」 「れ、玲…?」 「そう、玲」 そう笑う玲に、ちょっとだけ。 ちょっとだけだけど、ドキドキした。 「んじゃ、明日な」 「あ、うん」 そう言って、手を振って去って行く玲を見詰めていた。