「夢…?」

「おいしいよ、おじさん。」

「そのおじさん呼ばわり、何とかしてくれないかなぁ…。」

「なんで?」

「だって自分では自分をおじさんだなんて思ってないからさ。」

「あたしと10近く離れてるんだよ?だったらおじさんじゃない?」

「…10でおじさんかぁ…世の中変わったなぁ。」

「じゃあ何て呼べばいいの?」

「呼び捨てでも何でも。とにかくおじさん以外なら何でもいいよ。」

「ショウ…でいいの?」

「うん。その方がいい。」


ショウは一瞬、戸惑ったような顔をしたが、すぐに取り繕った笑顔に戻る。


「ショウ。」

「なに?」

「朝、あたし少食だから。」

「分かった。加減して作るね。
味付けはこんな感じで良かった?」

「うん。…懐かしい味がした。」

「そっか。」


それ以上は二人とも何も言わなかった。
それでも沈黙はなにも痛くなかった。