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ショウの手際は思っていた以上に良くて、あっという間に食事らしい食事が出来上がった。
白くてほかほかのご飯、豆腐とわかめの味噌汁、トマトがたくさんのったサラダ、そして唐揚げが少し。


「…ちゃんとご飯っぽい…。」

「ちゃんとご飯だよ。召し上がれ。」

「…いただきます。」


思えばこうして両手を合わせて『いただきます』なんて言うのはいつぶりなんだろう。
もうなんだか長いことやってこなかった気がする。


ご飯を一口、口の中に放り込んだ。
ふわりとした甘みが口の中いっぱいに広がる。


味噌汁を一口すする。
…何だろう、これは。すごく優しい味がした。


外食先では食べられない味。
濃くなくて、尖ってなくて、ただ身体にじんわりとしみ込むような優しい味。


「味はどう?」

「…おいしい。」

「それは良かった。」


またにっこりとショウが微笑む。
その笑顔に反応してではないけれど、確かにその時、夢は泣きそうだった。
涙を堪えて、喉の奥がやたらに熱く、苦しかった。