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「結構買ったね…。」

「重い?なら俺持つよ?」

「いい。」


夢は一袋、ショウは2袋を持ち、並んで歩いていた。
夜も遅いため辺りはひどく静かで、街灯が所々明るく光るだけだ。


「9月は少し、星がよく見えるね。」

「え?」

「あ、星とか空とかそういうものってあんまり見ない?」


突然の質問に、何を訊かれたのか正直良く分からなかった。


「見ないって顔だね。」

「見る必要ないから。」

「確かに。星なんて見なくたって世界は回るし明日は来る。
だけど、知らない世界を知らないままで閉ざしておくよりも、知って世界を広げた方が楽しくなるのは本当だよ。」

「…どういう意味?おじさんの言葉は分かりにくい。」 

「星って面白いよって話だよ。」


そう言ってまた笑う。
この笑うという行為に、夢は全然慣れていない。


笑えないことはないけれど、ショウのように笑えているかは自信がなかった。
自分の笑顔は『偽物』だと知っていたから。