* * * * *


10分も経たないうちにショウが出てきた。
髪は軽く拭いたようだが結構濡れている。


…しかしそんなことはこの際どうでもよい。
―――この男、風呂に入る前と入った後では大違いだ。


「…同一人物?」

「どういう意味、それ。」

「別人すぎるんだけど…。」

「そうかな?あ、でもこれで年相応に見える?」

「28…だっけ?」

「そうそう。」

「見えないことはない。」


そう言って目を逸らしたのは、何となく夢の方が気まずかったからだった。
あんなに小汚い顔をしていたのに、今は本当に…綺麗だった。


少し明るめの柔らかそうな茶色い髪が光を帯びて輝く。
目は色素が薄く、黒というよりはむしろグレーだ。
柔らかな印象を与える顔のつくりは夢をはっとさせた。


「夢?」

「あ…えっと…なんでもない。」

「買い出し行こう?」

「まっ…待って!」


大きな声が出たのは、やはり動揺していたからだろう。