「奪っちゃったー!」

「梨亜…お前…。」

「帰ろ帰ろーこんなことばっかしてたらキリないやー!」

「だから…はぁ…やっぱお前には敵わねぇ。」


手を繋ぎ直して、ゆっくりと歩き出す。
星が時折流れて、消えていく。


「とりあえず、クリスマスイブとクリスマスだけはちゃんと空けといてよね?」

「分かってる。最初からそのつもりだし。」

「風邪ひいたりしないでよね?」

「…分かってるって。」

「晴輝、何ほしい?」

「は?」

「クリスマスプレゼント。」

「別に…欲しいもんはないよ。梨亜は?」

「じゃー…指輪!」

「え?」

「男よけ!女よけってことでお互いよくない?」

「ま、梨亜には必要だよな、男よけ。」

「晴輝にも必要だってば!」

「…そうかぁ?」

「晴輝の鈍感っ!激ニブ男!」

「んだよその言い草は…。」


頭を掻きながらそう呟く晴輝。
そんな晴輝とあたしの左手の薬指に、シンプルなシルバーの指輪がつけられるのはもう少し先の話。


*Fin*