「夢…?」

「っ…なんでっ…。」

「…?」

「なんで思い出させるの…?忘れ…たかったのにっ…!」

「誕生日を忘れたかったの?」


夢は小さく頷いた。
こんなはずじゃなかった。
誕生日なんて忘れさせてくれるだろう、そう思ってここまで着いてきたのに。


「最初からこうするつもりだったの?」

「気付いたのは偶然だったよ。
祝いたいと思ったのは必然かもしれないけど。」

「ここに連れてきたのは祝うためだけ?」

「違うよ。」

「え?」

「それだけじゃない。
夢と一緒に進むためにここに来た。」

「…どういう意味?」

「9月1日、覚えてる?」

「…うん。」


忘れるはずもない。
ショウと出会った日。夢がショウを拾った日だ。


「あの日、もうそろそろ死んでもいいかなって思ってたんだ。」

「え…?」


ショウに似合わない『死』という言葉。
それがあまりにも自然に落ちてきたことに驚く。