電車に揺られ、28分。
着いたのは…


「海…?」

「そう。海。」


辺りはうっそうと静まり返り、人はほとんどといっていいほどいない。
近くに小さなレストランのような建物が見える。


「なんで…海なんか…。」

「ここだとよく見えるからね。」

「え…?」

「星が。」

「でもまだ明るくて…っ…。」

「うん。
まずは腹ごしらえといこうか。あそこのレストランは美味しいんだよ。」

「え…ショウ、来たことあるの?」

「うん。前に…ね。」


ごく普通の会話。
それなのに、ショウの言葉の端々に懐かしさともわびしさとも取れる何かが窺える。


「行こう、夢。」


自然と繋がれた手。
夢が繋ぎ返すことはないけれど…それでも、ショウは夢の手をそっと包んだ。