「夢…?震えてるんだけど。」

「仕方ないじゃん。慣れてないんだから。」

「俺の見立てで当たってたってこと?」

「そーゆーことっ!」


ちょっとヤケになって、手を振りほどこうとしたのに、そこは向こうが上手だった。力関係じゃ夢に勝ち目なんてない。


「ふりほどこうとしないでよ。慣れないなら慣れればいい。震えは俺が抑えるから。」


そう言うと、ぐっと力を込めるショウ。
強すぎず弱すぎない加減は妙に心地よく、却って安心した。
…震えは収まる。ゆっくりと、確実に。


「じゃあ行こうか。」

「このまま行くの?」

「いいじゃん。傍から見たらカップルに見えるよ。」

「援交に見えるよ!」

「減らず口。」


ガチャンとドアを閉め、鍵を掛ける。
行き先は到着するまで夢には分からない。


ショウの手から小さく心臓が脈打つ音を感じる。
肌に直接伝わってくる、小さな音。


それがなんだかくすぐったくて、不思議な気持ちがした。