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何の変哲もなく、13日は訪れる。


「夢。今日は寄り道せずに真っすぐ帰って来てくれないかな?」

「あたしがいつ寄り道したっていうのよ?」

「そうだけど。今日は出かけるから。」

「分かってる。じゃあ夜ね。」

「うん。行ってらっしゃい。」

「…行って…きます。」


この一般的には当たり前だけど、今まで夢の世界にはなかった『挨拶』にこそばゆさを感じなくなったのはごくごく最近のことだ。
最初のうちは恥ずかしくて仕方がなかった。
…今でもスラスラと言えるわけではないけれど。


今朝留守電を確認した。
もちろん登録件数は0。


「…期待なんてするから裏切られるのに…。」


分かっているのに。頭では。
もう何年も独りで過ごしてきたじゃない。
今更…今年はたまたまショウがいるからって…何を…。


「あたしが生まれてきたことなんて、誰も気にしないし誰もキョーミないの。」


半ば言い聞かせるような形で夢は呟いた。